第73話

「うっ……右京くん、男の子なのに色気が凄い!」



恥ずかしすぎて彼の目をずっとは見ていられず、美紅は顔を背けたが、



「それは美紅の方だろ。俺の服を着てる時の美紅は、特にエロい」



右京の手が、美紅の太ももを優しく撫で上げるので、



「……っ!」



美紅は声を抑えつつも体を仰け反らせた。



「あの、右京くん……誰か帰ってきちゃったら……?」



「親はいつも遅いし、都古も今日は友達のところで雨宿りしてるって、さっき連絡来てた」



右京はそんな説明をしながらも、美紅を脱がせる手を全く休めない。



そしてどこから取り出したのか、美紅の頭の横に避妊具が箱ごと置かれる。



「え……」



「これがあるから、余計に美紅を呼べなかった。歯止めが利かなくなりそうで」



そう告げた右京は、次の瞬間にはニヤリと妖艶な笑みを浮かべる。



「でも、いっぱい求めてもいいって許可が出たし」



「……!」



「俺は、美紅だけを本気で愛してる。だから、俺を骨抜きにした責任はきちんと取ってくれよな」



「ん……あっ……」



右京による本気の愛情表現を、美紅はただただ受け止める以外に為す術はなく――



『雨の日にわざと傘を忘れる』という川上のアドバイスを実行しただけの美紅は、



(やっぱり、師匠は凄い人だ……!)



右京からの愛情を一身に浴びながら、そんなことを考えていたが、



「美紅? 物思いにふけるなんて、余裕だな?」



「あ、ごめんなさ……あぁ――っ!」



次の瞬間には、美紅の頭の中は真っ白にさせられた。

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