2.浅舞

第3話

緑深き山々と森

豊かな水に恵まれた大地

広大な草原を吹き抜ける風

それは龍の愛した場所ー


小国ナキ(奈岐)の国


元は龍狩りを生業としていた一族が治め、最後の生き残りとされる龍の遺骸を祭り、その霊力によって他国の侵略を阻んできた国である。

今、その国の若者達が成人の儀を迎えようとしていた。


通称 浅舞


秋も深まった頃それは行われる。

今年十八歳を迎え成人となる男女が舞いを披露するのだ。


女性が舞う歌舞は龍を愛する女の舞い

男性が舞う剣舞は女を愛する龍の舞い


親類のみで行われることもあれば、地区単位で行われることもある。

そして、浅舞の由来ともなった浅舞女学院で行われる浅舞は国事に指定されていた。


浅舞女学院は高等教育を許された王族、官僚の娘。また、それらに推薦された女性が通う唯一の女学院である。


そして浅舞女学院の浅舞には、仕官学校で成人を迎えた幹部候補生の中から、学長に選ばれた10名が参加し、剣舞を披露する。


いわば国をあげての集団見合いのようなものだった。

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