第69話

蕗江は、

「北島さんに協力して欲しいけど良いかな?」

 綾子が不思議そうに顔をしかめる。蕗江は紙を渡して、

「読んで欲しい」

 詩が書いてあった、

「私より美しい貴方が心配だ

身だしなみも立ち居振舞いもお喋りも得意

いつも誰かを気遣い

仕事も励む

いつ寝てるの?

私より美しい貴方が心配だ

泣いても良い

怒っても良い

怠けても良い

私より美しい貴方が心配だ」

 綾子は黙っている。蕗江にしてはしおらしい詩である。とげが無い。

「歩実は物足りないと言ってたな」

 蕗江が呟いた。綾子は、

「レズビアンに遠慮しているでしょう」

 蕗江は、

「そんなつもりはないけれどね」

 綾子は、

「相手がブスだったら面白いのでは?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る