第1章

第1話

ー遡ること10年前ー

好奇心旺盛な幼少期を過ごした私、西園寺さいおんじ 萌架もかは、ある日一人で屋敷近くを散歩していると身体が傷だらけ、衣服もボロボロになっていた男の子と出会った。


何処か憂いを帯びた寂しげな瞳。

「大丈夫…?」

幼いながらに放っておけなかった萌架は、その男の子に声を掛けていた。


「えっ…?」

その男の子は、一瞬怯えながら萌架の顔を見た。


「あなた、怪我してるでしょ?手当てしてあげる!こっちへ来て!」


萌架は、優しく男の子の手を取り、屋敷へ向かった。


二人は屋敷に着くと、萌架が男の子に椅子へ座るように促した。


「直ぐ手当てするからね!」

萌架が手当てを始めると、男の子がオドオドしながら質問した。


「あなたは…僕のこと、怖く…ないの…?」


その問いに萌架は、きょとんとした。


「何で、怖がらないといけないの?怪我してるのに…それに、あなた優しそうだし…何だかとても寂しそう…そうだ!私の遊び相手になって!」


その唐突なお願いに彼は、一言呟いた。

「良いよ」と。


それが私と現在、執事となった彼。ルークとの出会いだった。

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