第7話


瑠華の今日の服装は―――



白地にカーキのハーネス柄をあしらった華やかな膝丈の柄スカートに黒のV開きノースリーブニット。



近くに薄手のノーカラージャケットが置いてあるからそれを羽織るつもりなのだろう。



今日も俺好みの素敵なお召し物で♪



瑠華のむき出しの白い二の腕が目に入った。



背中からわきに続く線が、何とも色っぽくて眩しい…



じゃなくて。



彼女の片腕に施された黒一色のトライバル模様のタトゥー。



腕のぐるりを囲む蔦に、その中央に施されたハートとも取れる絵柄。



アメリカの大財団、ヴァレンタイン家の紋章だ。



どっちかって言うとお姉さん系の瑠華には、そのタトゥーは不釣合いだ。



だけど俺はそのタトゥーに込められた意味も、気持ちも知っている。



俺は瑠華に近づくと、後ろからぎゅっと抱きついた。



「どうしたんですか?」



瑠華が手を休めて首を捻る。



「ん~…ちょっとねぇ」



曖昧に答えて俺は瑠華の肩に頭を乗せた。



目の前にタトゥーがあって、俺はその絵柄にそっと口付けをした。



「ニューヨーク行って何する予定?」



「家に帰ったり友達と遊んだり。そんなとこですかね」



瑠華はのんびり答える。



彼女の言葉を聞きながら、俺は一ヶ月前彼女が電話をしていた会話を思い出した。



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