第47話

キスケはぎこちなく、

「よろしく」

 と、短く挨拶した。カヅコも、

「初めまして」

 と、挨拶。カヅコは驚いた。チヒロの着ている服はほぼ新品に近いし、町でも見かけない鮮やかな意匠。一方、嫁に行った姉のヒオコのお下がりを自分で仕立て直した服を自分は来ている。ほつれを何度も直しているし、地味な意匠だ。


 カヅコは少し恥ずかしくなった。チヒロは無表情でこちらを見ている。やや気まずくなったので、キスケは自分達の家を指差し、

「俺達の家だよ」

 チヒロは振り向く。微かに驚き、

「木造の3階建て。かっこいいね」

 キスケはにこりと笑い、

「父が設計したんだ」

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