第42話

長男である兄のキスケすらも塾に通っていないが、父親のイスケから教育を受けていた。イスケは建築家で、村一番の知恵者だと評価されていた。


 イスケが設計して指示した建築物はどれも美しく丈夫で機能的であった。今ある村の神社仏閣もイスケが設計して指示して築かれた。


 イスケは加工の難しい栗の木を好んで採用している。喜原町に6階建ての集合住宅を築かせたが、地震が来ても隣に火事が来ても無事であった。


 イスケは病弱ではあるが温厚で頭が良くて娘のカヅコには誇らしい。子ども達はイスケから一度も怒鳴られたことも暴力を振るわれたこともない。

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