3人の従業員は驚きながらもヒロミの帰郷を喜んだ。それは経営者の監視から逃れられる喜びではなく、慕ってた者の吉報だからだ。

老齢のカヤノには28歳の娘がいた。娘は生まれながらの知的障がい者であった。それを理由に夫と夫の家族から身勝手にも離縁されてしまった。職を転々としているところにヒロミに雇われた。10年前の事。世話が必要な知的障がい者の母親を経営者達は煙たがったが、ヒロミはカヤノの働きぶりを評価していたし、娘を時々気にかけた。