第91話
「………」
「だから愛されない苦しみは少しだけわかるのよ」
黙ったまま私を見つめる修二にそう言うと修二は悲しそうに。
「俺はっっ、家で嫌な事があったも嬉しい事があっても顔に出しちゃいけなかった!俺を誰も見てくれない!俺はっ俺はっ」
苦しそうに悲しそうに声を出す顔を見て、山路灰利がどうであれ、修二はそんなに悪い子じゃないのかもしれない。
「でも、私は嘆かないよ。
だって嘆いたら今が変わる訳じゃない。
だから努力して自分で全てを変えるよ。
負けない、私は私の人生を生きるってねいつも言い聞かせて生きてきたよ、修二は?嘆くだけの人生なの?」
これはきつい訳じゃない。
わからないかもしれないけど、こういう状況に甘い言葉は必要ないんだ。
甘いだけの言葉が自分を救ってくれる訳じゃない。
私が仲が良ければ抱きしめて命一杯甘やかしてあげる事も大切だけど、私と彼の出会いは今で、そんな私が抱きしめて甘やかすのは違う。きっとそれは彼らの仕事。
こういう時は本当は誰かにこうした言葉が大切なんだ。
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