第5話
愛に溢れた人といるのは、くすぐったくて柔らかくて、ぽかぽかしていて本当に幸せな1年間だった。
あの"3年間"とは大違いで、もう一生あの世界の事も思い出さなければ、戻る事なんてないと思っていた。
そんな時に出会ったのが"彼等"だった。
「あれま、綺麗な子がおるな」
「男連れじゃん。
いちいちめんどい事すんなよ有野」
「ええやないのー。
ねえねえお姉さん
僕らと遊びましょ」
マックの中で、四人で喋っているとそんな声が聞こえてきて振り返る。
「「「キング………、」」」
桜と晃と直哉が声を合わせてそう言ってしまう程、吃驚していた。
"キング"
それは5人の御曹司グループでありこの地域全ての支配者。
顔が良く、金持ちで、そして喧嘩も強い5人組の通称だ。
この辺で彼等に逆らえばそれは"死"を意味する。
有名な資産家や政治家たちの息子で逆らえば家族さえ路頭へ迷わす事も簡単にされてしまうからこそ誰も逆らえない、いや逆らわない。
大人も子供も全員がそうだった。
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