第72話

その後は俺の言葉は安易すぎる事しか口から出なかった。



「ハハ、自分でメイクした奴に言うのも変だけど。綺麗だ」



そんな、笑いと一緒に出てしまった言葉に自分が少し情けなくなった。


もっとなんか上手い言葉があるだろうに。

なんで出た言葉はそんなのなんだろう。



そう思いながらも、ミサの為に用意した香水を軽くふきかけて完成させると、ミサは微笑んでありがとうという言葉と共に帰ろうとした。



でも、お前は知らないだろうけど、凜太郎がミサを一人にする訳ないだろ?


前もって昨日俺に連絡がきた時に、今日の夕方からは仕事を休みにしてミサに付き合ってくれと頼まれていたんだ。

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