笑わない女

■Ennui(退屈)

第1話






一面木々に囲まれた緑の中。







空は蒼く澄み渡っていて、空気がひんやりと心地いい。






僅かな風の音を聞きながら、当時7歳だった俺は彼女を呼んだ。










「――――」








何て呼んだのか覚えていない。







でも白いコットンのワンピースの裾をひらつかせながら






俺よりもずっと小さな彼女は笑った。






夏の太陽にも負けないきれいで輝かしい笑顔だった。







思えばあれが俺の最初で最後の恋だった―――

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