嘘の始まり
「まぁ、本当綺麗なお嬢様ね~。
「美男美女ってこういうことを言うのね~」
「そう言えば以前、私の主人が匡高さんに――」
名前も知らないおばさん2人が目の前で楽しそうに会話してる。
おばさんの手には、自慢にしか見えない数の指輪が。
引くわ~…
じゃなくて。
その手で持っているグラス、すぐ横のテーブルに置いてくれないかな。
それワインでしょ?
私、真っ白なパーティードレスを着ているんですけど?
そのまま話しかけるなんて、私に関心もなければ心遣いも出来ないみたい。
もっとも、このパーティーにすら関心がないんだろうけど。
まぁ新郎側に招待された客だから、愛想を振りまかなきゃいけないんだろうし。
きっと “ 花嫁 ” の名前すら覚えるつもりはないだろうな。
やっぱり隣に立つ新郎の会社絡みの人間って、何考えてるのか分からないな~…
な~んて。
目の前で繰り広げられる知らない話題に、笑顔を浮かべながら、現実逃避のように卑屈な事を考えてみる。
「今日はありがとうございます。私も妻の
「未熟者ですが、ご指導お願い致します」
おぉ。
流石、出来る
容姿も良いうえに全身がザワッとするような良い声なんて、神様は不公平だ。
そして早速私の名前を呼び捨てにしてるし。
腰に手を添えてくるなんて、誰がどう見たって仲睦まじい新婚じゃないですか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます