第2回『デビルマン 誕生編/妖鳥死麗濡編』

「では素晴らしきOVAの世界第2回ですにゃー」

「ホントに2回目やるんだ……あれっきり誰にも無視されて終わりかと思ったのに」


「ふっふっふ、PVついてるのにゃー。

 読んでくれてる人がいるのにゃー。

 その期待に応えるべく頑張るのにゃー」

「試しにチラっと開いただけの人がほとんどかもしれないよ。最後まで読んでる人なんて一人もいなかったりして」


「……ずうぅううううん……そうかも……くろねこ教授のOVA評価なんて、誰も読みたくないかもしれにゃいのにゃ……」

「ああ、ああ、本気にしないでね。僕は割とネガティブ思考を口に出しちゃう人なんだよ。とりあえず言ってるだけで本気な訳じゃ無いから。

 じゃあアナタと読んでる男性を惹きつけるためサービスしちゃおうかな。現在の僕の服装はと言うと……ソファーに寝転がってて、イエローの下着姿の上にグレイのパーカーだけ羽織ってるんだ。どう元気になって来ない?」


「それ、ホントにサービスになってるかにゃ。挿絵も無いのに」

「そこは想像力でしょ。カクヨムに文章読みに来てる人なんだから、文章から想像出来るに決まってるよ」


「んじゃくろねこ教授は猫ちゃんなのにゃ。真っ黒でシッポの長いぷりちーな猫ちゃんなのにゃ。

 これで女性読者ゲットなのにゃ」

「本体はいい年こいたおじさんなのに、にゃ、とか言って恥ずかしく無いのかな。ド厚かましい精神構造してるよね」


「なにか言ったかにゃ?」

「いーえ、ゼンゼン」


「それでは第2回のタイトル発表!


『デビルマン誕生編』

『デビルマン 妖鳥死麗濡編』 

 

 なのにゃーーっ!!!」


「なになに、『デビルマン』のOVA、『誕生編』が1987年発売、『妖鳥死麗濡編』が1990年発売。監督は飯田つとむさん。キャラデザ総作画監督は小松原一男さん。永井豪先生の原作コミックス版デビルマンは昭和のテレビアニメと違い過ぎる事で話題になっていた。そこで原作版のアニメ化を狙った作品。その後2000年に『AMON デビルマン黙示録』なんてOVAもあるけど、こっちはスタッフが全然違うんだな」


「漫画史上に燦然と煌めく名作『デビルマン』。終末SFとしてもショッキング過ぎる作品としても有名なこのコミック。映像化不可能と言われた作品を忠実にアニメ化しようとした作品なのにゃ」

「僕もマンガ版は読んだことあるよ。ヒロインの牧村美樹の死にざまが酷いんだ。でもこの作品の場合ヒロインだけじゃなくて、主人公も、人間みんなお亡くなりになってるから、ある意味公平だよね」

 

「とりあえず本編、速水奨さんの声がカッコイイのにゃ。

 速水奨さんはこの頃美形キャラ声優で有名で不動明は少し意外なラインだったんだけどにゃ」

「ホントだ、低音ボイスしびれる。悪魔がついてからの声がまたとてつもなくかっく良い」


「声で言ったら、青野武さんのジンメンも素晴らしいのにゃ。

 ジンメンと言ったら『デビルマン』の中でも有名な最低、最悪キャラ。

 それを青野さんがこちらの想像の斜め上で演じて下さっている。

 もうこれ以上のジンメンは無いのにゃ」

「うわー、なにこの亀キャラ、目の動き気持ち悪っ! 話し方もムカツク事この上無いね。話もひどいし、これを冒頭に持ってくるって、凄い作品だな」


「そう、ジンメンのアニメーションも素晴らしいのにゃ。

 そしてシレーヌとの対決。

 アニメも演出もメチャ良いにゃ。

 単に血しぶきが飛ぶだけじゃないのにゃ。

 痛そうな演技とか、一瞬の殺意に満ちた目線とかそういう物がしっかり入ってるからこそアクションシーンが盛り上がるのにゃ」

「ははぁ、そういうのが演出って事なんだね。だからかな、単にかっこいいアクションじゃなくて、バイオレンスって言葉が似あう気がするよ。シレーヌの声もやたらかっこいいね」


「もちろんにゃ。

 シレーヌは榊原良子さんなのにゃ。

 潔く恰好良く威圧感のある女キャラと言ったら榊原良子さんしかいないのにゃ」

「意外と声優に拘るね。普段はアニメーターの話が多いのに」


「うーん、『御先祖様万々歳』と違ってコミック原作に絵はあるにゃ。

 コミックとアニメ最大の違いは音があるか無いかなのにゃ。

 そういう意味では音楽と声優は重要ポイントなのにゃ」

「なるほど、そう言えば音楽も良いね。この音は聞き覚えがある気がするよ」


「うむ、BGMは『御先祖様万々歳』と同じ、川井憲次様なのにゃ」

「なになに、川井憲次さん。『めぞん一刻』『らんま2/1』『姫ちゃんのリボン』『コレクター・ユイ』『ガンパレード・マーチ』『ガンダムOO』『ひぐらしのなく頃に』『攻殻機動隊』劇場版、数え上げればきりがないほどのアニメ作品に参加している。実写では大河ドラマ『花燃ゆ』。映画の『リング』シリーズ、うひゃー、これは確かに劇伴の王様だね」


「当時の観た人の評価はみんな高かったんだけどにゃ、残念ながらOVAは二巻までしか出ていないのにゃ」

「そりゃまたなんで?」


「うーん、スタッフの都合が合わなかったとかにゃー。この頃のOVA業界が30分×4本とか6本みたいのが多くなって、1時間OVAが少なくなっていたとかにゃ、色々あると思うのにゃ。

 その代わりと言ってはなんだけどにゃ。

 スタッフが割と共通している『CBキャラ 永井豪ワールド』なんてOVAが出てるのにゃ」

「なになに、『CBキャラ 永井豪ワールド』全3巻、1990年から1991年発売、SDキャラのパロディギャグ作品なんだ」


「パロディと言いつつも割とマジメなストーリーだったりしたのにゃ。

 その頃完結したばかりの『バイオレンスジャック』のラストのネタを盛り込んだりして永井豪ファンサービスばっちりだったのにゃ。

 でもこれに関してはまた別の機会に語りたいのにゃ」

「へーー。そんなことをしているうちに監督の飯田つとむこと飯田馬之助さんが病気で亡くなっちゃうんだね」


「うん、惜しい人を亡くしてしまったのにゃ」

「今更だけど、ご冥福をお祈りします」


「それではー採点コーナーだにゃー」

「はい。ではルールをおさらい。10項目各10点の100点満点。BGM、主題歌、映像、絵柄、企画、設定、展開、声優、演出、オリジナリティーの10項目」


「そいではいくのにゃー--。

 まず『デビルマン』と言うタイトルだけで5千点!

 青野武さまのジンメンとそのブキミアニメーションに3万点!

 美しくも怖えシレーヌ様に2万点!

 カイム様の尊さに1万点!

 速水奨不動明のカッチョ良さに1万点!

 永井豪の原作『デビルマン』を再現しようと努力した気概に敬意を表して4万点!

 11万5千点!なのにゃー!!!」

「だから、100点満点だって言ってるだろー!」


「アホかにゃー--っ!!!

 『デビルマン』が100点満点なんかに収まる訳なかろーもんにゃ」

「いーや、この人はほっておいて、僕が今回も採点しよう。

「BGM、主題歌、主題歌は無くてインストのテーマだけなんだけど、どちらも8点てとこかな。映像、絵柄は……絵は若干古い印象かな。誕生編と妖鳥死麗濡編でタッチが変わっちゃってるのもマイナスポイント。映像にジンメンのキモ可愛さにオマケして10点、絵柄に6点。企画に9点、設定は9点、展開8点、声優も榊原さんと速水さんのカッコよさにオマケして10点、演出9点、総じて77点。70点越えだから高いよ、A級作品だね」


「お前……割と辛口評論家だにゃー」

「そうかな、これでも一般的な視点で考えたうえ、評点は甘くしてみたつもりだけど」


「……まあ『デビルマン』に思い入れの無い世代に言っても仕方ないのかにゃ…………」

「なんだか落ち込んじゃってるね。じゃぁ、第2回はこれでおしまい。第3回もやるつもりらしいよ。予告しておくとタイトルは『メガゾーン23』だってさ」

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