素晴らしきOVAの世界 【くろねこ教授のタワゴト別館】
くろねこ教授
第1回『御先祖様万々歳』
「どーも、くろねこ教授ですにゃ。
今回から1980年~90年代を中心としたOVAの事を語るべく別館を開きたいと思いますにゃ」
「あ、アシスタントの高天原宇宙です。サブカルチャーに詳しいと言う設定になってる某作品のヒロインです」
「以前からOVAの事は語りたい、語りたい、と思っていたんですがにゃ…………
なんせ古いので資料が無いのにゃ。
裏付けも少ないにゃ。
のでどうしようかにゃーと…………」
「1980年て、もう40年も前だからね。40歳以下の人にとっては知った事じゃ無いよね。
僕もいくらアニメ好きでもさー。高校生なんだよ。産まれる前のことにどこまでついていける事やら」
「なので会話形式にして…………
あくまで私見ですにゃっ!
くろねこ教授の個人的な意見ですからにゃっ!!
とゆー辺りを明確にして書いていくつもりにゃのにゃ」
「ああ、だから僕がツッコミ役として引っ張り出されたわけね」
「それでは今回取り上げる作品ですにゃ…………
『御先祖様万々歳』
にしたいと思いますのにゃ」
「また、マニアックなタイトルを……初回なんだからもっと知られてる作品にした方が良いんじゃないの」
「充分知られてるにゃー。
押井守監督の名作OVAなんだにゃー」
「押井監督が一気に有名になる『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の前でしょう」
「だーかーらー。
その前から知られてたのにゃ。
うる星やつらテレビシリーズのチーフディレクターだったんにゃ。
『ビューティフルドリーマー』の監督なのにゃ」
「うーん。1979年『うる星やつら』テレビ放送開始。1983年『うる星やつら2ビューティフルドリーマ-』劇場公開。多数のクリエイターに影響を与えたと言われる映画か。嘘でも無いみたいだね」
「なんにゃ、なんにゃ。
産まれる前だから知らない、にゃんて言ってたくせに。
やたら詳しいじゃにゃいかにゃー」
「こんなただのカタログデータ、ネットで調べればすぐ分かるよ。誰かも言ってたでしょ「ネットは広大だわ」ってね」
「む、その言葉には逆らえないのにゃ…………
いーや、まずは本題に入ろうなのにゃ」
「『御先祖様万々歳』全部で6本、1本およそ30分。1989年から1990年発売。この当時のOVAとしては珍しくない規格だね。監督は押井守。キャラクターデザインはうつのみやさとる。音楽は……」
「様かせめてさんをつけるのにゃーっ!!!
うつのみやさとる様。
1990年代を席巻した偉大なるアニメーター様にゃー!」
「分かったよ。うつのみやさとるさん。これでいいね、ええとどこまで言ったっけ? 音楽は川井憲次」
「様かさんをつけるのにゃーっ!!!
川井憲次様。
アニメだけでなく、ゲームにテレビドラマ、映画、劇伴業界の偉大な大御所なのにゃー!」
「分かったってば。ええとうつのみやさとるさん、OVAが作られたころは平仮名表記だったけど、最近はうつのみや理名義で活動しているね。『AKIRA』の原画で注目され、『御先祖様万々歳』では後続のアニメータ、西尾鉄也、田中達之などに多大な影響を与えた。へぇー、田中達之さんは知っているよ。ゲーム『リンダキューブ』の絵を描いていた人でしょ」
「西尾鉄也さんも知ってろよにゃ、『NARUTO』なのにゃ」
「でも、そんなに凄いのかな? OVAのジャケット絵を見てもせっかく美少女ヒロインが描かれているのにさ、これ受けそうな絵じゃ無いよ」
「だーー、美少女ファン受けが全てじゃにゃいやい。
でも……その通りにゃ。
『御先祖様万々歳』が商売的に失敗したと言われる理由はそこにあるのにゃ。
『うる星やつら』の押井守監督の新作として、ある日日常に不思議な美少女がやって来る、みたいな宣伝をしたら、誰でも『うる星やつら』やラムちゃんちっくな美少女アニメを期待するのにゃ。
それでこの絵柄を見せられても…………」
「はぁああ、今本編を見てるけど…………主役らしい少年とお父さんの会話だけで前半終わっちゃったよ」
「ヒロインの四方田麿子が徐々に家に近づいてきてただろにゃ。
物語は平凡な一家四方田家と平穏な日々に飽きていた少年、犬丸のもとに謎の美少女が訪れるところから始まるのにゃ」
「平凡じゃないし、平穏な一家に見えないよ。これどう見ても美少女ファン向けの作品じゃないね。舞台劇みたいだし。主人公とお父さんのやりとり怖いし、台詞やたら長いし」
「そうにゃんだ。
自分も舞台劇をイメージしたみたいと思ったんだけどにゃ、その後『パトレイバー』で押井監督と一緒に仕事したスタッフは
「アレは舞台劇じゃ無くて、押井守が滲み出るとああなるんだ」
と言っているのにゃ」
「お母さんかっこいいい! 鷲尾真知子さんじゃないの。一話のラストに流れる音楽も良いね」
「そうなんにゃ。
お前良い奴だにゃー。
この一話のラスト最高にカッコイイと思うのにゃ!
川井憲次様の音楽も最高なのにゃー。
ほとんど同時期に『機動警察パトレイバー』も作られていて、これ以降押井守監督の音楽と言えば、川井憲次と言う無くてはならない相棒になっていくのにゃ」
「麿子ちゃんを迎え入れたお父さんと息子に呆れたお母さんは家を出て行っちゃった、と。それでその後の展開は?」
「第2巻では麿子を追ってきたタイムパトロール室戸文明が登場。
3巻では母親が調査を依頼する私立探偵多々良伴内が登場するんだ」
「タイムパトロール?
「早送りで最後まで見たけど、正直話が良く分からないね。タイムパラドックス? ミステリー? SFと呼ぶには少し……だし、ドタバタギャグにしては変に思わせぶりだし。なんだかミュージカルみたいになってるし、ラストはいきなり変な方向に突っ走ってるし」
「うるさーいのにゃ!
良いのにゃ、これはこれで。
ってゆーか、早送りすんにゃ。
ちゃんと見ろ、土下座して詫びろ、正座して鑑賞するのにゃ。
歌は素晴らしいにゃろ。
玄田哲章さんに山寺宏一さんだにゃ。
サントラを再度売って欲しいのにゃ」
「サントラ……なにこれ、調べるとすごいプレミアついてるね」
「うむ、サントラCDは商品として売られた事が無くて、LDBOXの特典としてだけ付いてたのにゃ。
にゃのに、DVDBOXには付いていにゃい、ってどういう事にゃー。
DVDBOX発売されるってゆーから、LDBOX買わずにこらえたのに…………
CDが付いてにゃいにゃら、やっぱLDBOX買っておくべきだったにゃー。
ってゆーか、BDBOX出してくれにゃ。
そいで特典にサントラCD付けてくれればいいのにゃ」
「はぁ、個人的な恨みや要望がたくさんあるんだね。とりあえずそろそろ終わろうよ。もう読んでる人も飽きてるよ」
「むっ……そうだにゃ。
では最後に得点を発表したいのにゃ」
「得点……採点するんだ」
「うむ、勝手に採点するのも作品に対して失礼かもしれにゃくて。
ちょっと畏れ多い気持ちもあるのだけどにゃ。
しかしやっぱり数字くらい付けにゃいと、読んでる人も分かりづらいと思うのにゃ」
「ルールは基本が10項目各10点の100点満点。映像、絵柄、企画、設定、展開、BGM、主題歌、声優、演出、オリジナリティーの10項目。良いんじゃないの、アクマで個人の勝手な意見だし。アナタの採点を本気で信じる人なんていないから、気楽に発表したら」
「それでは…………
音楽、特に一話と最終話の音楽に1万点なのにゃ!
一話のお母さんのカッコよさに2万点なのにゃ!
2話と3話の少しダレた感でマイナス1万点。
うつのみやさんの動画に1万8千点!
永井一郎さんのナレーションに5万点!
押井守監督の謎なウンチク長広舌と緩急の効いた演出に10万点!」
「だぁああああああっ!!!100点満点て説明したばかりでしょう」
「うるさいのにゃー。
好きな作品を語るのに冷静に採点にゃんか出来るか! だにゃー」
「仕方が無い。じゃあ僕が客観的な採点をしてみせよう。
音楽はすばらしい、BGM:10点、主題歌7点かな。絵は動くのは分かるけど、これで買いたくなる人は少ないよ、映像:8点、絵柄:3点。話の訳の分からなさで設定:1点、展開:3点。企画は……売れなかったのが全てでしょ、4点。声優さんは力のある人が揃っていて、それで面白くなってる、プラス10点。オリジナリティーはあるね、刺さらない人には刺さらない、刺さる人には深く刺さる。個人的にはあまり刺さらないけど……目の前の人には刺さってるみたいだし、プラス8点かな。演出も変過ぎて良く分からないけど、まぁ良いと言えば良いのかな6点。全部で60点」
「低いのにゃー!
そんにゃハズあるか、ちゃんと見ろにゃのにゃー」
「うるさいな、だから古オタは嫌なんだ。アナタは188000点なんでしょ。平均を取れば9万点だよ。100点万点で9万点だから凄いじゃない」
「そうか……にゃらば許す」
「補足するならば……くせの強い作品だからね。レビューにおける☆5を付ける人も多いけど、☆1の人も多いみたいな。合わない人には合わないだろうけど、大事な作品と思う人もいるんじゃないかな。ただ……そういう作品て平均的な感覚で採点するとどうしても低い点数になっちゃうんだよね」
「では……第一回は終了だよ。また二回もやる予定だけど、あくまでマイペースでゆっくりやっていくつもりなんであまり期待しないでね」
採点:合計60点
映像:8
絵柄:3
設定:1
展開:3
企画:4
BGM:10
主題歌:7
声優:10
演出:6
オリジナリティー:8
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