第83話
「阿佐谷さんの家なんですか…」
ユウノがワントーン落ちた声でそう言うと。
「前のな」
「その、美咲はよくそこに行ってたんですか?」
「まあ、そうだな。仕事が休みの日はほとんどここにいたんじゃねえか」
「へ、へえ。そうなんですか」
「ミサキ友達とかいなかったですしね」
須藤さんの言葉に阿佐谷さんも頷いた。
そ、そうなんだっと俺らは聞く事しかできなかった。
だが、今度はページを捲るたび暗くなっていく。
美咲と阿佐谷さんのツーショット。
美咲はすっぴんで、男物の服を着ている写真。
美咲が台所に立って料理してる写真。
美咲が怒ってる時の写真。
美咲が嬉しそうにしている写真。
どれも、どれも、なんだか胸が苦しくなった。
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