第13話
「名前も、本当は覚えてるよ。
でも、なんだか、言いたくなくて、ごめんね」
そう雅人さんはちらっと彼らにごめんねっと謝罪する。
「え、いや俺らは、その」
灰利はそんなふうに雅人さんに声をかけられて、少し困りながらもそう言葉を出した。
そんな灰利を横目に雅人さんは私だけを見つめた。
「ミサキ、許して」
懇願するように、私を見る雅人さんが、なんだかあんまりにも……可愛かった。
でも、少しだけ厳しく言わなきゃならない事なので、そこでは許さずもう少し言葉を放つ事にする。
「雅人さん、ちゃんと皆と仲良くできる?」
「え、それ「できないの?」
「ヤキモチは妬いちゃうかもしれないけど…ミサキが言うなら」
「本当?」
「うん、だってミサキに嫌われたくない」
うう、やばい、めっちゃ可愛い。
雅人さんは大人なのに、寂しげに笑うそんな表情はどこまでも大人なのに、どうしても可愛いと思ってしまう。
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