『 』
めんどー
魔女掃討
1.プロローグ
『魔女掃討』それは、魔女を滅ぼす最後の戦争。
今からお前に語るのは、確かにあった真実の話だ。
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「父上。魔女とは、魔術師とは何ですか?」
幼い声が寝室に響く。父親はふと寂しげな表情を浮かべて答える。
「ただの人間だ。…少し、人とは違うだけの、な。今日はもう寝なさい。明日も朝から勉強だろう?」
「…分かりました。おやすみなさい、父上」
少年は納得のいかない顔をしていたが、不承不承うなずいた。
父親はそんな息子の姿に苦笑しつつも、そのさらさらとした茶髪を撫で付け、
「おやすみ、リアンダ」と返す。
しばらくして少年______リアンダが寝たのを確認すると、父親は部屋を出て、月明かりの差す長い廊下を歩く。そして突き当たりに居た人影を見て、馴れ馴れしく話しかける。
「よお、軍務卿。調子はどうだね?」
「……あなたのせいで最悪だ」
「悪かったね。だが、これからも仕事が朝を迎えてくれるだろうよ」
「今日も仕事と夜を共にする羽目になりそうだ」
「ははは、すまないな、イリヤ」
軽い冗談を言い合ったあと、リアンダの父親は目を鋭くして問う。
「ところで、計画の準備は万全だろうな?」
イリヤがうなずくのを確認して、言葉を続ける。
「では、計画を始めよ」
イリヤは逡巡ののち、ポツリとつぶやく。
「……本当に良いのか」
リアンダの父親は、鼻をフン、と鳴らして答える。
「これは命令だ」
「……分かりました、王よ。では、『魔女掃討』を開始します。では、私は今から軍議に」
「ああ」
そう言って王は遠ざかるイリヤの背中を見ていた。が、しばらくしてイリヤとは違う方向へと足を進める。月明かりに照らされた赤い瞳が、怪しく輝いていた。
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