第17話



………へ?小さい頃……?



親父はロレックスの腕時計に視線を落とすと、



「む。いかん。彼女を待たせてある。それじゃ、私はここで失礼するよ。綾子くん、ご苦労」



「お疲れ様でございました」



綾子が丁寧に頭を下げ、親父は颯爽と行ってしまった。



な……



どういうことだ――――!!!





「さ、あんたはこっち」



綾子が俺の腕を引いて、親父の出て行った正面玄関の後を追うようにIDカードを入り口改札にかざした。透明の両開きの小さな扉が開き綾子が先を急かす。



「や。ちょっと待て!俺は…」



「柏木さんのことなら大丈夫よ。別に二人はそうゆう怪しい関係じゃないから」



そ…それは何となく分かる。



親父はたぶん純粋に食事をしにいくだけだ。



………たぶん。



そう信じたい。





もし、親父に変な気があったのなら…




親子どんぶり―――!!!!





うげぇ




ありえねぇ!!



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