■Disharmony(不協和音)
第3話
■Disharmony(不協和音)
いつの間に眠ってしまったのだろうか、瞼の向こうが明るくなっていることで、ほとんど反射的にぱっと目が覚めた。
やばっ!!会社!
慌てて起き上がって、近くに転がっていた携帯を手に取ると、デジタル時計は朝の5時を指していた。
ほっと、安堵の息を漏らす。
いつもよりちょっとだけ早い時間だ。
最後に時計を見たのは4時20分だったことを覚えているから、30分程寝ていた計算になる。
俺の隣に柏木さんの姿は
なかった。
そっとシーツの上に手を這わせると、まだほんのり温かい。
彼女も起きたのはちょっと前のようだ。
俺はベッドから抜け出すと、そっと寝室の扉を開いた。
しんと静まり返った廊下を歩いていると、リビングから声が洩れている。
こんなこと、前にもあった。
あのとき彼女はM…もといマックスと電話をしている最中だった。
今日もなのか……
そんなことを思いながら、リビングに足を踏み入れるのを躊躇っていたが、彼女の口調はマックスに対するそれとは違っているようだった。
早口の英語。
でも丁寧なものだった。
そっとリビングを覗き込むと、ソファに座った柏木さんはこちらに背を向け、タバコを吹かしながら、テーブルの上で何かを書き込んでいた。
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