高嶺の花

第2話

地元では偏差値が高いことで有名な、公立の進学校であるこの檸檬れもん高校の一年一組には、在校生一の美少女と言われている生徒がいる。



名前を間宮まみや 美紅みくといい、腰まで伸びた柔らかな茶髪と、どちらかというとシャープな顔付きに、真ん丸で大きな瞳が印象的な少女だ。



彼女の父親は、つい最近二ツ星を獲得したばかりの創作料理店のオーナーシェフ。



母親は超有名人気洋菓子店で修行を積んだ経験があり、現在は夫の営む創作料理店のデザート担当を任されているパティシエ。



そんな2人の間に生まれた美紅は、小さい頃から両親に料理やお菓子作りを教え込まれていたので、その辺の主婦よりも料理上手だったりする。



美紅にとっては料理やお菓子作りなどは出来て当然のことだったのだが……



誰もが振り返ってまで見惚れる美少女が料理上手だと噂になれば、当然のようについてまわるのが、



『女子力アピール、キモすぎ』



『顔がいいってだけで、何でも高評価されててウザい』



という悪口。



気にするだけ無駄だと分かってはいるものの、それでも美紅だって人間なのだから、傷付くに決まっている。



自分だって努力しているんだということを分かってもらうには、あとはもう学校の成績しかないと勉強に明け暮れれば――



『先生に色目を使って、試験問題を教えてもらっているに違いない』



などと根も葉もない噂を流される始末。

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