第9話
初日の仕事を終えて、もう暗くなりかけている帰路をとぼとぼと歩く。
私の夢見ていた世界は、想像以上にハードな世界であることが今日一日だけで十分に理解出来た。
もちろん、そんなことくらいで夢を諦めたりなんてするわけはないけど。
でも……
「つ、疲れた……」
かつてない程の疲労感にやられて、体がバラバラになりそうだ。
ナオくんの作ってくれたお弁当はお昼休憩の時にとても美味しく頂いたけれど、今は疲れすぎて食欲も湧かない。
晩ご飯は食べられないかもしれない。
昔から、体調を崩すとご飯を全く食べなくなる私は、疲れすぎても食欲を失くす。
おそらく晩ご飯の用意をしてくれているであろうナオくんにはお店を出る前に、今から帰ることとご飯は要らない旨のメッセージを送っておいた。
だから、帰ったらシャワーを浴びてさっさと寝てしまおう。
そんなことを考えながらナオくんの部屋の玄関扉を開けて、
「ただいまー」
中に入ると――
私の大好きなオニオングラタンスープの美味しそうな香りと、
「おかえり。お疲れ様」
ナオくんのふんわりとした優しい笑顔が出迎えてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます