第93話
お店のラストオーダーの時間が過ぎたので、入口の扉に掛けている『OPEN』の看板を『CLOSE』に変えるため、私は一旦お店の外に出た。
期間限定のおすすめメニューを紹介する看板もお店の前に出しているので、それも店内に片付ける。
風で倒れないように意外と重く作られているので、うんしょうんしょと運んでいると、
「あら? あなた、確か……」
なんとなく聞き覚えのある声に呼び止められて後ろを振り向く。
「あ……」
そこには、ついこの間ナオくんといるところを見かけた金髪ボブの美女が立っていた。
「直人の幼なじみの子よね?」
ナオくんの“ただの幼なじみ”をそろそろ卒業したいと思っていた私にとって、その言い方は結構傷付く。
「あ、はい」
でもそう名乗ったのは私だし、それが一番正しい言い方だから、私には素直に頷くことしか出来ない。
「ねぇ。ちょっと聞いてくれる!? マジ直人のヤツありえないんだけど!」
美女は、重い看板を抱えたままの私の肩を両手で掴んで激しく揺すった。
「ちょっ……」
バランスを崩しかけた私はなんとか持ちこたえて、手にしていた看板をそっと地面に下ろす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます