第89話
金髪ボブの似合う美しい女性――以前、ナオくんのアパートの前で私に声をかけてきた人だ。
その美女が、ナオくんの左腕に両腕で絡みつくように腕を組んで歩いている。
ナオくんの表情は私からは見えないけれど、2人の様子はどこからどう見ても恋人同士のようにしか見えない。
“女友達”とはもう会わないって言ってたのに……なんで?
私は2人の動向が気になって、行こうと思っていた事業所研究はそっちのけでナオくんたちを尾行した。
2人と一定の距離を保ちながら、街中を歩いてついて行く。
そうして行き着いた場所は――
「……嘘……」
市街地の外れにあるラブホ街だった。
沢山建ち並んでいる建物の一つに、2人して当たり前のように入っていくのを、遠巻きに見ていることしか出来なかった。
「なんで……? ナオくん……」
悲しいのか悔しいのか、よく分からない涙が出てきて前が見えなくなる。
私は手の甲で涙をごしごしと拭いながら、走ってその場を後にした。
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