第24話

舞の目をしばらくの間見つめていた初華は、



「はぁー。私も、そろそろダンナと仲直りするか」



大きな溜息をついた。



「私たちのせいで、あなたに振られるかもって友季に怒られたから。ごめんね」



顔があまり似ていない姉弟だと思っていたが、困った顔をする初華は友季によく似ている気がする。



舞はそんなことを考えながら、



「いいえ」



首を横に振った。



「アイツが彼女出来たなんて嬉しそうに教えてくれたのは初めてだったから、邪魔するつもりはなかったんだけど……愛華がね」



困った顔のまま、今度はソファーでうとうとし始めている娘を見る。



「友季の気を引きたくて、お風呂にスマホ沈めるわ、私のリップでイタズラするわで」



「……」



スマホが壊れたのは、修羅場になったからではなかった。



まぁ、初華が友季の実の姉だと分かった時点で、違うだろうなとは思っていたが。



「友季ー? 私たち、もう帰るからね」



トイレに籠ったままの友季に向かって声をかけた初華は、娘をそっと抱き上げる。



「あ、お手伝いしましょうか?」



舞が慌てて名乗り出ると、



「駐車場の私の車まで荷物運ぶのお願い出来る?」



初華は嬉しそうに微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る