第25話

下を向くな、上を向こう!


そうすれば涙も零さずに済むんだから———




「咲多さんは何でそんな泣きそうな顔で

笑うんだよ?」



「っ泣きませんよ、大丈夫です」



「そう、か…そろそろ帰るな

咲多さん朝は何時の電車に乗る?」



「35分に乗ってます」



「同じだな、何両目に乗ってる?」



「後ろから2両目です

なるべく人が少ない所にしてます」



「だから会わなかったんだな

明日2両目に乗ってるから一緒に行かない?」



「いい、の?」



「悪い事してる訳じゃないんだし

咲多さんが嫌じゃなければ、だけど」



「嫌じゃないです、誰かと一緒に登校って

嬉しい」



「それじゃ約束な」



「うん、約束…ふふっ、嬉しい約束だ」



継渼くんは玄関までで良いと言って

帰って行った



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