第21話
「えっと……」
どこに座ろうかな……
と困惑する沙那の目の前に広がるのは、ずらりと並ぶ大量の机と椅子と、
そして、幾つものグループに分かれ、仲良さげに笑い合っている学生達。
元から友達同士だったのか、ここに来てから仲良くなったのか、それは全く分からないが、
沙那がこの空間で一人ぼっちなことに変わりはない。
とりあえず、一番後ろの列の、一番左の席に荷物を降ろした。
今まで、何をするにも祐也と一緒だった沙那にとって、この状況は苦痛でしかない。
どうしていいか分からなくて、寂しくて辛くて俯いてしまう。
そんな沙那に、
「隣、座ってもいいかな?」
突然声がかかり、沙那は慌てて顔を上げた。
目の前には、明るい茶色のショートヘアがよく似合う、端正な顔立ちをした女の子。
ボーイッシュな雰囲気なのに、クルクルとよく動く瞳が印象的で可愛らしい。
「あっ、ど、どうぞ!」
沙那が慌てたように頷くと、ショートヘアの彼女は、にっこりと人懐っこい笑顔を浮かべた。
「良かったぁ。あたし、田舎から出てきたばっかりで、友達いなくてさぁ」
あはは、と無邪気に笑う彼女に、沙那の顔にも自然と笑顔が浮かぶ。
「私もそうなの。何か都会って馴染めないかもって思っちゃって……」
沙那がそう答えると、ショートヘアの彼女の笑顔はますます眩しくなる。
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