第10話

「これで今日の会合は終わりました。若」



「終わったならもういいだろ透」



「そうだな。颯お疲れ」



「あぁ」



主従関係にあるはずの俺だけど、仕事が終わったりプライベートなどは、いくら全国に名を制す組の若頭でも名前で呼ぶ。



俺の言葉に満足したのか、口に笑みを浮かべ颯からは素っ気ないが返事が返ってきた。



そして、二人で秋の待つ車に乗り込みしばらく走り出した時だった。



「秋」



「はい。マークされてますね」



颯の声が秋に飛ぶがもちろん秋も分かっていて…



「出てすぐからずっとだね。ただの尾行か?」



「だったらいいんですけどね。この先裏道がないので‥。どうしても、小さいですけど商店街に入らなきゃなりません」



険しい顔になった颯を俺と秋の声だけが通り過ぎていく。

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