★マーク
第7話
ーーしかし。
目線を書類の左右に滑らすが、その★マークが書いてある横一列の枠内には、それ以外の情報がない。
日付や時間やクラスや現在の症状すら空欄である。
★マークに気が留まった私は、書き終えた書類を持ったまま先生の方に顔を見上げた。
「先生。あの、これ…」
「あ、もう書き終わった?じゃあ、担任に連絡するから記録表を頂戴」
「…じゃなくて、何で私の名前の上の欄の人は★マーク以外は書いていないんですか?それ以前の人はしっかり必要事項を書いているのに」
すると、先生は前のめりに興味を湧かせる私に、柔らかく目元を細めて人差し指を唇に当てて内緒のサインをした。
「しっ、これはプライバシーよ」
「え?プライバシーって…」
「じゃあ、担任の先生にあなたが保健室に来た事を連絡しておくから、ベッドに横になっていいわよ」
記録表を受け取った先生は、私にこれ以上★マークについて詮索されぬようにと、すぐさま電話の受話器を持ち上げ、慣れた手つきで職員室の内線番号を押した。
私は★マークに何か特別な秘密があるのかとモヤモヤしながら先生に一礼し、席を立ってベッドに足を進ませた。
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