初めての保健室

第6話

「失礼します。先生、貧血気味なので四時間目が終わるまで横になっててもいいですか?」




一時間目の授業を終えたばかりの私は、血色が悪い顔のまま、保健室の古い扉を開けてのっそりと顔を覗かせた。



元々低血圧体質なのだが、前日は模擬試験を受ける為に徹夜近い状態で勉強していた為、今朝は疲労困憊だった。




右奥のデスクで書類に目を通していた養護教諭が私の存在に気付き、手元の書類から目を外し私に向けた。




「こら、朝からサボり?ダメよ、学生なんだからちゃんと授業を受けないと」


「違いますよ。本当に貧血なんです」




まるで幽霊のような足取りの私は、先生の正面にある丸い回転椅子に座った。





高校に入学してから一年半以上経つが、保健室に入るのは今日が初めてだった。



書類をデスクに置いた先生は、デスクの方からグルリと身体を私の方に向けた。




「貧血の症状はいつから?」


「今日の寝起きから」



「熱とかは?」


「ありません」



「ふぅ、仕方ないわね。じゃあ、この保健室利用記録表にクラスと名前を書いたら、そこのベッドに横になってね」


「はぁい」



「記録表を書き終えたら、担任の先生にあなたが保健室に来た事を内線で伝えるから」


「すみません、よろしくお願いします」




先生から記録表を受け取った私は、枠内の日付と時間とクラスと名前と症状の欄に各項目の記載をした。

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