虚しい心

第23話

「花音ったら、本当に酷い。梓、ジャージ思いっきり濡れちゃったけど、大丈夫?」


「相変わらずだよね。花音は…。」




平静を装いながらジャージの上着に付いている水滴を、パッパと手で払っている自分が虚しかった。

紬は困惑し、口元に手を当てている。




花音はどうしてこんな幼稚なイタズラをするのだろう…。

蓮と付き合ってる当時ならまだしも、今はもうとっくに別れてしまっているのに。




「今日は肌寒いから、他のクラスの子にジャージ借りた方がいいんじゃない?このままだと風邪引いちゃう。」


「そうだね。隣のクラスの美玲にジャージを借りてくるわ。」



「うん。予鈴鳴っちゃったから、早く行っておいで。」


「…ごめん。じゃあ、行って来るね!先に体育館で待ってて。」




梓は濡れたジャージを身に付けたまま、走って体育館の建物を出て行った。


だが、教室がある棟の出入り口に差し掛かると、ちょうど建物から出て来た蓮と目が合う。

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