第44話

「二人で幸せになりたい。それだけのために今ここにいる。幸せになりたい、これが俺の本心」


「……そっか」


体を引き寄せる。


その瞬間、どっと涙が出てくるのが分かった。


「ね、これからは一緒だよ? 二人だよ? 二人で幸せになるんだよ?」


「……ああ、絶対、約束」


「約束ね?」


そう言った瞬間。


自分の指先が、優しく光っているのに気づいた。


まだ自分の腕を掴んでいる時雨くんの手も、同じように光っていた。


きっと、開放されるんだ。


もうこの世にさよならするときなんだね。


「これで、おわり、なんだね」

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