第42話

時雨くんの手が、私の後頭部を掴む。


顔を近づけられ、目線を合わせられる。


時雨くんの、何かを掴もうとするような視線。


ずっと、変わってない。


「……気づいてたの?」


「気づいてたというか、やっと気づいたっていうか。馬鹿だった」


ああ、そうなんだ。


「ごめん、ずっと気付けなかった。ユウを苦しませた。追い打ちかけた」


「……違うの……苦しませてなんかない……追い打ちかけてなんて……」


目の前がぼやけてる。


それでも、時雨くんの姿は、はっきり映っている。

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