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第19話

こんなにたくさんの人間を一度に見たのは、人生で初めてかもしれない。


俺以外のほとんどの人は、ペンライトやうちわを構え、ライブが始まるのを今か今かと待っている。


ユウも含めて。


「うああぁ〜… 最前列行きたかった…」


席をとれなかったユウが、俺の周りをうろうろしながら言った。


「チケット当たっただけでも感謝しろよ…。てかお前俺以外には見えないし行ってくれば? 最前列」


「やだ!時雨くんと一緒がいい!」


お前は何でそんな俺に執着してんだ…?



 ドーム内が暗くなり始めた。


「あっ!くるくるくるくる!!! 」


あんなに騒がしかったドーム内が、一気に静かになった。

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