第12話

ユウの顔から笑顔が消えた。


こんなに冷たい顔をしたユウを見るのは初めてだ。


「............」


「.............」


沈黙が流れる。


やっぱり聞かない方が良かったか。


しばらくして、ユウの顔が笑顔に戻った。


「......内緒」


そう俺に一生懸命笑いかける笑顔は、どうしても作り笑いにしか見えなかった。


「あ、そういえばこのアロマ、もうすぐなくなっちゃうね。また新しいの買っておくよ」


そう言ってユウは、そそくさと帰っていった。


今度も窓から。


 .......無理しなくていいのに。


気遣わなくていいのに。


ユウは、そういう人間なんだ。

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