第12話

「……友達からですか?」


友達からでもと付け加えられて、私は思わず問う。

だけど私の日常に彼がいたら、それはとても素敵なことに違いない。



「だってほぼ初対面の男に告られたら、女の人は怖くないですか?」


「そう…なのかな?考えた事なかったです。」


二人でくすくす笑う。

私のペースを守ってくれようとしているみたいで、なんだかくすぐったい。



「いや。すぐに恋に持ってきます。」

「強気なんですね。」


私は苦笑した。

静寂くんはにこっと笑みを深くする。



「じゃないとシンガーソングライターなんて不安定なの、成れないです。」



この人のことが、好きだな。

そう思った。



「私達、まずは名前からですね。」

「そっか。」


照れくさそうに金髪の頭をくしゃくしゃ掻きながら、静寂くんは私に本名を名乗った。


  



End.

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