26話

「真っ赤ですね。そのガーネットは、アルマンダインガーネットだと思います」


真希ちゃん、きらきらと目が輝いてる。絶対食いついたね。


「やっぱり真希ちゃん詳しいね。ガーネットって良いよね。確かオレンジのも無かったっけ」


パワーストーンの話で、彼女のペースになるはず。

まあ、実は僕のペースに乗せられていくんだけどね。


真希ちゃんなら、語らずには居られないよね。

だって好きだもんね。沢山、聞いてあげるよ。


それに、僕はその手の話を結構知ってるんだよね。

パワーストーンが好きな先輩が居て、その影響を多少なりとも受けているから。

スピリチュアル的な話、嫌いじゃないし。


芸能人って案外パワーストーンとか好きって人多いんだよ。身につけてる人は割と居るからね。


「オレンジはヘソナイトとか、マンダリンガーネットって言うんです。他にも青とか緑もあって、ガーネットって色彩の幅が広いんですよ」


「そうなんだ。良いね、ガーネット。もっと詳しく聞きたいな」


ネックレスして来て良かった。これを狙ってたんだ。

パワーストーンの話は僕も真希ちゃん程ではないけれど、好きだから楽しい。


水晶の話もした。石が採れる国とか結構知っててびっくりした。


ブラジルで多く採れるけど、たまに日本でも採れるらしい。パワーストーンとしての力の強さならヒマラヤ産がいいんだって。


彼女の誕生日が1月21日というのも分かった。

僕の誕生日と近いし、星座も一緒。誕生石のガーネットも同じだとか。


あと、真希ちゃんが好きな色は青。

地元の話とか、他にも沢山話して凄く盛り上がった。



「優大さんもパワーストーンが好きだったなんて。

そのネックレス、テレビで付けてるのを見て、かっこいいなって思ってたんですよ。でも、まさかお好きだったとは」


「真希ちゃん程ではないけどね。本当に詳しくて凄いね。楽しいし勉強になるよ。ありがとう」


「いやいや、こちらこそ。優大さんも結構知ってますね。びっくりしました。私、身近にパワーストーンが好きな人が居ないから、中々お話する機会がなくて。こちらこそありがとうございます」


やっぱり作戦に見事ハマってくれた。

でも、実はこれだけじゃないんだ。他にも考えがあってね。そろそろかな?




「ごめんなさい、喋りすぎましたよね?」


「ううん。大丈夫だよ。真希ちゃん、たくさん喋ってくれて嬉しいよ。疲れてない? 」


「そうですね。ちょっと落ち着く為に、お化粧直ししても良いでしょうか」


「うん、いいよ。行っといで」


「ありがとうございます。直ぐ戻りますね」


真希ちゃんが席を離れた。

すれ違ったら彼女、いい香りがする。

香水じゃなくて、柔軟剤か何かかな? それとも、シャンプー?

柔らかい香りがして、内心一緒に居ることにドキッとした。


僕には好きな香りがある。自分のつけてる香水とか。

柑橘系が好き。好きな香りを纏うとそれだけで別人になれた気分。


まあ、ある意味自分を作ってるとも言える。

色んな香りをした女の子が僕に近づくわけで。

甘ったるい香りは好きじゃない。



真希ちゃんの匂いって、自分を作ってない優しい感じがした。


僕が香りに敏感なだけなのかも。


そうそう、真希ちゃんが戻る前に秘密の作戦を実行しなきゃだ。


これを、こうして……と。

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