6話
時々自分が怖くなる。依存して壊してしまわないか。俺の好きという気持ちは、独りよがりなんじゃないかと。
その気持ちが真希にとって良くないとしたら、どうしよう。
初めてこんなに人を好きになったものだから、自分のこの気持ちが正しいのか間違ってるのかさえも分からない。
それに俺は幽霊だ。死んでるのに真希を愛しても良いのか。
彼女と恋人同士なら、もし俺がまだ生きてたらなんて。
……考えたくない、だって生き返るなんてできないから。
自分のバンドの曲に、ロマンスとグロテスクというタイトルがある。
身勝手な愛を抱いた人間が大切なものを壊していくという歌詞で、俺はまさにそうなるんじゃないか。不安が足音をたてながら迫りくる。
自分の書いた歌詞をこんな風に思い出すなんて。
人を上手く愛する事が出来ない俺は勝手な奴で欠陥があるんだ。
でも完璧な人間なんて居ないからと、言い聞かせてる。
でも、本当はそれじゃ納得できないんだ。何も壊したくない。真希を大切にすると誓ったはずなのに。
上手に愛したところで、それは自身への嘘になるから。
俺も真希も嘘が大嫌いだ。だから上手に恋愛しようなんて思わない。
本音を言うなら、彼女を壊したらどうなるか見てみたい。興味本位では決してない。
そんな軽い気持ちを抱いているわけじゃなくて、好きすぎるからだ。
強い独占欲ってやつかもしれないが。
完全に自分のものになってくれるんじゃないかと思わずにはいられない。俺だって男だから期待をしてしまう。でもそんなものは甘い幻想だ。
理解してるはずなのに、どうして。
何故、いやらしく考えてしまう?
男の欲望だけで好き勝手したくなんかない。
自分の思い通りにだけ、なればいいだなんて考えは嫌だ。
真希は繊細過ぎるあまり壊れやすいんだ。大切にしなければ簡単に……
こんな最低な本音を真希は知らなくて良い。
彼女の前では綺麗なままで居なくては。
これは決して嘘ではなく傷つけない為。
愛してる。彼女の傍に居られるなら、もうどんな形だって構わないから。
だから醜い自分の汚して壊したい感情は、知らないふりをしておこう。
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