4話

真希はエンジェルフェザークォーツ以外にも、天然石を色々持っている。



彼女の優しい雰囲気に合いそうなローズクォーツの雫型のペンダントもあったな。


この石は淡いピンク色。

満開の桜を思わせるような美しい色味。

きっと、やわらかい気持ちにさせてくれるだろう。




でもまあ、エンジェルフェザークォーツの俺が1番だけどね。


なんてったって水晶だから、癒しの力も魔除けの力もあるって、彼女が持ってる天然石の本に書いてあった。


それに、希望が湧いたりインスピレーションにもいいって。


真希が楽しそうに読んでるところを何度も見てる。

意味とか効果を覚えてるらしい。

それくらい天然石が好きなんだ。とても、熱心でね。


彼女はいつも決まった店で天然石を買う。


店員はもちろん、店長にまで名前や顔を覚えられてるみたいで、買う度にいつもありがとうございますと言われてる。


真希がパワーストーンを好きになったきっかけ。


もう亡くなっているが母方の祖母の影響。



おばあちゃんが、いつも水晶が連なっているネックレスをしていたらしく、小さい頃に興味を持ちはじめた。



9歳くらいの時、健康で明るく居て欲しいと黄色い水晶のタンブルをもらったって。



タンブルとは小さく研磨された石のこと。



前に見せてもらったがキラキラとしていて綺麗だ。



確かに元気が沢山つまってそうな感じだし、口に入れたらレモンの刺激的な味がしそう。



黄水晶をもらってから、はまったらしく自分のお小遣いで色々買ったりしていたようだ。



落ち込んだ時に石を見つめていると癒されるって。




真希は返事がなくとも、心の中で石に話しかけたりしている。よほど愛着があるんだろう。



仕事が大変とか、ちょっとしたラッキーがあったとか話すと気が楽になったり、嬉しさが2倍になるらしい。



満月の夜には決まってパワーチャージする為に、月の見える所に天然石を置いてる。



月には不思議なエネルギーがある。



確かに綺麗だし、神秘的だ。



パワーチャージした石はする前より綺麗に見える。



真希が、透明である水晶はあまり好きじゃないと前に言っていた。興味をあまりそそられないって。



俺は透明だと溶けない氷みたいに思えるから涼しげで面白いと思うけれど、彼女は違うみたい。



でも透明感のあるものは好き。



それに加えて色がついているものや内包物ないほうぶつといって、水晶の中に何かしら入ってるものの方が面白いんだとか。



茶色くて気分が落ち着きそうなスモーキークォーツとか、妖しげで色っぽい紫のアメジストみたいな感じで、色のある水晶も存在している。それらが好きらしい。



だけど、エンジェルフェザークォーツを初めて天然石の店で見かけた時に、美しさのあまり感動したんだって。



中に見える天使の羽と言われるもの。


そして角度によって見え隠れする虹。


天使の羽は純白だけど、水晶にその優しい清らかな雰囲気が写し出されている。


ぱっと見た感じは乳白色なのに、透明感が抜群に美しいんだ。



一目惚れしたの、綺麗だから大好き!



教えてくれた真希の明るい表情は、今でも鮮明に覚えてる。


ニコニコと笑顔から嬉しさが零れていた。


何度も思い出してしまう、愛しさが甘く柔らかく溶けていく。その感覚の虜になるくらいには真希を好きだ。



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