第3話
毎日腹の底はおくびにも出さず、媚びもせず
身も心も削りながらあたしは
アパートのドアを開ける。
ルームウエアに着替えるとスーパーで買った弁当を温めもせず、缶チューハイと頂く。
剥げたネイルが何となく自分と重なった。
「…みっともないな。」
『あんたって女の鑑よね。』
「そんな訳無いでしょ。」
食べ終えてすぐ、経理部勤務の友人・朋子からの電話。
彼女は何故かあたしをそんな目で見ているらしいけれど
仕事で見られる事が無ければネイルサロンもヘアサロンも絶対に無縁だと、ぼんやり思う。
『そんなあんたを誘いたく無いけどさ、どう?』
「ちょっと、止めてよ?あたし達幾つよ。」
『合コンに年齢制限は無いのよ!』
「あたしパース。」
『男日照りも此処まで来ると拒否反応?』
「言ってなさい。今にイイ男捕まえてやる。」
『振った医者よりイイ男なんて居るわけ?』
「居なかったらどうしよう?!」
ケラケラ笑う朋子は1年前に外科医を振った理由を知らない。
考え方が違ったの。
あまりペラペラ喋るのが好きじゃないあたしはこれしか話していない。
朋子もあたしの性格を知っているからか、それ以上は聞かなかった。
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