第46話

「あ、そうだ。これ食べて」


「わー、いいの?」




他の男にヘラヘラ笑ってんじゃねぇ。



しかも、出されたお菓子をすんなり食べるな。



そこは俺だけの特権だろ。




「筒地さんが持ってる、あれ。何のお菓子ですかね?」


「あぁ、筒地が作ったオリジナルのヤツ」


「へぇー。美味しそう」




楽しそうな二人に野菊ちゃんも興味津々な顔を向ける。



筒地が持っているのは、あいつが新しく思い付いたチョコレートでコーティングされた饅頭だ。



洋と和のコラボレーションだとかで、中に抹茶やあんこが入って結構濃厚な味をしている。




さっき俺も食べたけど、確かにすげぇ美味うまかった。



才能の差を感じて悔しくなるくらい。



あれを数日で作り出して、祖父さんまで唸らせるんだから、バケモンだわ、あいつ。




「実際、美味いよ。1つ貰ってきたら?」


「いいんですか?」


「いいだろ。色んな意見を聞きたいだろうし」




行け。そして2人の邪魔をしてこい。と、心の中で密かに企み、迷っていた野菊ちゃんの背中を押す。


任せとけと言いつつ、結果的に邪魔しようとしているんだから、俺もかなり狡いヤツだ。

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