第3話

そこの一人娘として生まれた私、双葉ふたばはお店を継ぐために修行中。



同じく修行中の身である旦那の皐月さつきと一緒に、日夜、両親や祖父母のもとで和菓子屋としてのノウハウを学んでいる。




「お父さん。お母さんがドラ焼きと金平糖も頂戴って」


「おー、そこに用意してあるから持ってけ」


「ありがと」




暖簾をくぐり抜けて店の奥。足りないお菓子を取りに作業場の方へ顔を出すと、お父さんが既にピッタリな個数を用意してくれてた。



声が聞こえて用意したのか、取りにくると予想して用意したのか、どちらかわからないけど、2人はいつもこうだ。



息がピッタリ。ちょっと羨ましい。




一方うちの旦那様は……と視線を彷徨さまよわせてみれば、彼はこちらを一切見ることなく和菓子作りにはげんでいた。



仕事に集中しているんだろうけど、見向きもされなくてちょっと悲しい。



あまりにも塩対応すぎて、時々寂しくなるのが本音だったりする。

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