第58話
ココに来るまでの間、東郷はあたしから3歩くらい離れた距離を歩いてた。
帽子にマスクと普段とは全然違う格好で。
マンションに入るときも周りに誰も居ないか気を使って慎重に。
言わなくてもバレないように配慮してくれた。
その辺、優しいなと思う。
飲み物とかお菓子とか色々買ってきてくれたところを見ると、本当に抜かりがない。
その飲み物が好きな紅茶だったのも、丁度いい温度だったのも。差し出されたお菓子がよく食べているグミだったのも。
本当に何一つ妥協すらない。
来るなり勉強道具を広げ出したところも。
「本当に勉強するんだ?」
「するでしょ、そりゃ」
「まぁ…、うん」
教科書を開いた東郷に頷きつつ、隣に座って頬杖をつく。
帽子もマスクも脱ぎ捨てて、すっかりいつもの姿になった東郷は、ノートに視線を落としてすっかり真面目な顔付きだ。
あたしには目もくれずに勉強をしている。
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