第48話

日が沈んだ学校の廊下。


張ってあったポスターを別の物に替えてたら東郷とうごに声を掛けられた。



返事をするより早く手の届かなかった場所に手を伸ばされて「これでいい?」と笑顔を1つ。


普通の生徒と何も変わらない。


何度も見たけど、本当に制服を着ててちょっと焦る。




「ありがとう」



少し気まずく思いながらもお礼を言って次のポスターを手に取った。



あれから2週間。



いつもこの調子だ。


あたしが1人で居ると、ふらっと声を掛けてくる。



内容は挨拶だったり雑談だったり、普通のモノで別に変なことを強要されたりはしない。



それこそ“分からないから教えて”と教科書を出してきたり普通の生徒と同じ。


東郷の言う“機嫌を取る”の意味が分からなくなるほどだった。

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