第44話

「楓」



いつもの定位置のソファの前に座って、聖也君の隣。


後頭部に手を添えられて唇を塞がれる。



あぁ、もう好きだな…って幸せな気持ちになって、それと同時に黒い感情が付き纏う。



他の女にもいっぱいしたのかな、でも自分もしたし…ってゴチャゴチャ。




本当は今日会ったら“他の男と寝た”ってバラす予定だった。


その為に日にちも合わせたし、相手も探した。


バラして全てチャラになるはずだった。


なるかは分からないけど、きっと。



ただもう無理そうだ。


相手は生徒だし、少し事情が変わる。


何だか脅されちゃってるし。


簡単に終わる話でもなさそう。



本当にバラされたらマズイし、一環の終わり。



先が見えない以上、軽々しく口には出せない。



そこを綺麗に終わらせてからじゃないと、こっちの話も先に進めないから。

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