第17話

「気付いてたの?」


「そりゃね。目立つし、嫌でも気付く」


「そっか…」




そりゃ渋るはずだ。


こんな跡を付けて自分からホテルに誘ってくる女なんて確実に訳あり。


怪しすぎる。



それでも共犯者になってくれたと思ったら何だか無性に泣けた。


その中身が性欲とかそんな薄汚れたモノだったとしても、あたしに取っては拾い上げて貰ったのも同じ。



それほど切羽詰まっていたし、追い詰められてた。



雨の中で拾われた子猫ときっと同じ気持ち。



果てもない不安と怖さから確かな手で掬い上げられた。

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