第2話

酔っ払いがたむろする夜の繁華街。


震えそうな声を抑え、本屋の前でしゃがみ込んでいた茶髪の青年に声を掛ける。



木野楓きのかえで。25歳。


顔は平凡、体型も平凡、生活も平凡のスペシャル普通人間。



大人しい普段の見た目を脱ぎ捨てて、派手に着飾り、人生初の逆ナンにチャレンジ中。


自分で言うのもなんだけど、結構良い仕上がり。


なかなかエロい。




「……ごめん。なんて言った?」



イヤホンで音楽を聞いていた青年は耳に入れたそれを外すとあたしの顔をマジマジと見た。


聞こえなかったと言うより耳を疑った感じだ。


元々大きい目を丸くさせている。

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