第92話

「ビビったし」


「ね」


「なんで泣いてんの?」


「申し訳なくなって……」


「そこはもう、別に気にしなくていいって」


「うん」




私も照れくさいが、慰めている側の村田もきっと照れくさいんだろう。


2人して若干カタコト気味の会話になっている。



何だか居た堪れない。


どんな反応をすればいいのか正解が分からないや。



だけど、渡された優しさが暖かい。



何の打算もなく、ただ純粋に心配してくれてるって感じがして堪らなく心に染みる。




空っぽだった心を埋め尽くすみたいに。

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