第72話

「だって村田が実家に来てるって聞いたから〜」


「マジ?それでわざわざ2時間も掛けてコッチに来たの?」


「まぁな。このチャンスを逃したら次はいつ村田と会えるか分かんねぇし」


「それは、そうだけど……」




だからって仕事終わりに高速を使ってまで飛んで来るなんて、兄貴もそこそこ変わってる。


昔っから仲間に呼ばれたら飛んでいくような人だったけど、ほんの数時間ゲームをするためだけに走って来るなんてご苦労さまだ。




「んでさ、家に着いたらお前ら居ねぇし。まさか帰ったのかと思って、一瞬、焦ったわ〜」


「それでコンビニまで迎えに来たのね」


「そーそー、ドコに行ったか聞いたらコンビニに行ったって史郎が言うから〜。待ち切れずに来たわけよ」



隣を歩く村田の首にガシッと腕を回し、治郎は時間帯なんてまるで無視した声量で笑う。


このテンションの高さ。


実家に着いて早々、アルコールを摂取して来たに違いない。



普段はもうちょっと大人しい感じだし。

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