第67話

「兄貴……」


「うわ。その酒の量は何だよ」


「だって、皆で飲んだらこれくらいは飲むでしょ」


「まぁ、飲むけどさ。多すぎだろ〜」




ホントなんでココに居るのか全く理解できない私を放ったらかし、兄貴は平然とした顔で話し掛けてくる。



“アレも要るだろ、これも要るだろ”と、村田の持っていたカゴに次々と商品を放り込んで、まるで最初から買い出しのメンバーにいたかのよう。



一応、会うのは半年ぶりなんだけど。


実家住まいの光弥や志郎とは違って治郎は1人暮らしだし、仕事が大工であちこち飛び回ってるのもあって、あまり顔を合わせない。


何なら1番上の兄貴、一弥かずやとの方がまだ会うくらいだ。



村田だって治郎と会うのは、かなり久々のはず。


なのに。




「これ、美味しよね」


「わかる〜。こっちも美味いぞ」


「へぇー。食べてみようかな」




物凄く普通に話している。


“久しぶり”とか“元気にしてた?”とか挨拶もなし。

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